げーむ

振り下ろされた傘は菜月の肩にヒットする。


『いッ!!!』


菜月がよろめく。


私はふら付きながら、傘を持った右手を上げる。


と、その右手を左手が押さえる。


『...ゆ、りくん?』


私の左手は右手を強く掴んでいる。


すると、右手は左手を払うように、自身を振り回す。


『...っあぁ...。や、めて...ッ』


私がそう言ったと思ったら、ふいに左手が外れる。


『...ふふふふふふふ』


私の口から私じゃない声が聞こえる。


『やーっと、意識とんだかー。けっこー粘り強いから、こっちが苦労すんじゃーん?』


何がなんだか分からないのは、菜月も今の私も同じだった。


が、映像はそこで終わってしまった。