げーむ

気づいたら、私は立っていた。


でも、さっきの位置とは違う場所だ。


急に戻った感覚に、身体の力が抜けて、教室の床に膝をつく。


そして、気づく。


「あ、れ...」


教室の床には大きな血の水溜りが出来ていた。


私の身体は何故かあちこちズキズキと痛むが、切り傷はなかった。


「...な、つき?」


菜月の声がしない。


「菜月...?」


菜月の気配がしない。


「どこに...いるの?」


振り向こうと身体を捻る。


だが、途中で身体が止まる。


身体が本能的に察している。


『振り向いてはいけない』


『振り向いてはいけない』


『振り向いてはいけない』


振り向いては...いけない?


何故?