げーむ

「...はぁ!?」


突如、室内に大きな声が響いた。


「だから、ね。相手を殺さなくてもいいんだよ?戦闘不能にするだけで...」


「戦闘不能って、どれ位痛めつければそうなんの?」


どうやら、綾瀬と光浦のようだ。


「戦闘不能になるまで傷つけるってさー。逆に難しいんだよね。だからいっそのこと、殺しちゃう方が簡単でしょ?」


「そんな...同じクラスの仲間じゃない...」


「仲間?そんなの、今のこの状況で何にも意味を持たないの!私達は今!個人戦なの!!」


「...」


光浦は人を殺してでも、自分が生き残りたいらしい。


さっき、綾瀬が光浦の元に行ったのは説得する為か、と一人合点する。


だが、その説得も失敗に終わったようだ。


「私はね、綾瀬。あんたを殺しにいくから。どっちにしろ...次は死ぬまで戦わなきゃいけなくなるのよ?」


光浦は、綾瀬を軽く突飛ばした。


「...誰にだって私は容赦しないからね」


それから、小さく「トイレに行く」と言って、視聴覚室の扉を開けた。


他の皆はまた黙りこくってしまった。


確かに...今回は人を殺さず勝てても、次は絶対に殺さないといけない。


そんな事を誰もが考えた。


「...俺、もうこれ以上戦いたくない」


ある男子が口を開いた。


私も。俺も。


小さな声が加勢する。