視聴覚室の部屋をそっと開ける。


中には私より前の試合で、勝った人達がいた。


皆、床に座っていた。


なので私も入口付近の床に腰掛けて、キュッと口を結んだ。


...どれほど経っただろうか。


あれから数人の人がこの部屋に来た。


綾瀬はまだ来ない。


もしかしたら、負けてしまったのだろうか。


『こんなことなら、綾瀬が何試合目が見とくんだった...』


後悔しても、意味はないのだが。


その時だった。


「っ美崎ー!!」


扉が勢いよく開いて...。


綾瀬が入ってきた。


「綾瀬...!!」


「あ、美崎ー!!」


綾瀬はとびっきりの笑顔だった。


でも、その服にはあらぬ染みが出来ていた。


恐らく血であろう。


「ねェ、綾瀬。これ...誰の?」


「あ...。これは...」


染みの部分をさっと、綾瀬が隠す。