「誰も死なせたくないから、だよ」


先生の咳払いが聞こえる。


早く出ていけ、という事か。


「私は綾瀬に生き残って欲しい。もちろん、他の皆も。だから、殺さないで。皆で生き残ろうよ」


俯せていた他のクラスメイトも顔を上げた。


「何も殺さなくたっていいんだよ?ほら、戦闘不能でもいいんだよ?だから」


「美崎さん。次の試合が始められないので」


先生が半ば強引に、私を教室から押し出す。


「待機部屋は視聴覚室です。迎えが来るまで、そこで待機していなさい」


有無を言わさぬ口調で、先生が私に命令する。


私が口を開こうとする前に、教室の扉が閉じられた。


ガチャ


鍵まで閉められたようだ。


「...はぁ」


とりあえず、今は先生に従うしかない。


他の皆の無事を祈りながら、私は視聴覚室に向かった。