げーむ

「...美崎、大丈夫!?」


綾瀬が私の肩を揺さぶる。


血の滴る鎌を持ったまま。


「綾瀬...何したの?」


自分の声が震えている。


聞かなくても分かる。


分かるけど...。


綾瀬に否定してほしい。


「何って...」


綾瀬がふと真顔になった。


「私の...正義を貫いただけだよ?」


「じゃあ、綾瀬の正義って何なの」


自然と問いただすような口調になる。


「...私はね...私の正義はね」


一拍おいて綾瀬が言い切る。


「友達を守ること、だよ。...例え、それで誰かを傷つけても、私は後悔しない...と思う」


私は何も言えなかった。


綾瀬がそんな事考えてるなんて、思いもしなかった。


尚も綾瀬は続ける。


「私にとって友達は、美崎だけなの。美崎が死にそうな目にあったら、私が助けてあげる。美崎が人を殺したくないなら、私が殺してあげる」


今から1年前、綾瀬はクラスで1人孤立していて、いわゆる、いじめの対象だった。


私は綾瀬をいじめていたグループの子と、何故か気が合わず、その日も口論になってしまった。


ヒートアップして行く口喧嘩で、私はつい言ってしまった。


「だいたいお前さー!!人をいじめてて楽しい訳??綾瀬の気持ち考えた事あんのッ!!?そんなんだから、性格悪ぃってフラれんだよ!!」


相手はここで泣き出してしまい、事態は何とか終息した。


まぁ、喧嘩の原因はさておき、それからあいつは綾瀬をいじめなくなった。


フラれた原因はそこにあると言った私の言葉を真に受けているらしかった。