げーむ

「...それでは、始めます」


先生が私達を交互に見やる。


「...はい」


「は、はい」


私達が返事をしたのを確認して、先生は言った。


「第8試合目。美崎百合VS宮代一樹、始めッ!!」


私は白い傘を構えた。


野球部の宮代の武器はバットだった。


一見、私の方が不利だが、宮代はガチガチに緊張していた。


その割に、私は落ち着いていた。


さきほど自分の正義を吐ききったからだろうか。


1試合目の時ほどの恐怖はない。


「...ふー...」


宮代がびくつく。


...呼吸しただけなのに、何て怖がりようだ。


不謹慎だが、つい微笑んでしまう。


「...?」


宮代が不思議そうな目をしている。


「...宮代!!」


「は、はぃぃいいぃ!!?」


「いくぞ!!」


「は、はい...!!」