背後で食堂の扉が閉ざされた。


目だけを動かし、辺りに人がいないか確認をする。


とりあえず視界の中には誰もいないようだ。


『ふーっ...』


さて、どこに隠れようか。


そう思いながら歩き出した。


「...あ」


「は...?」


と、近くのトイレの中からばっと人が出てきた。


とっさに構えたが、すぐにその傘を下ろすこととなった。


「なんだ...綾瀬か」


「な、なんだって何よ...」


不機嫌そうな綾瀬が私の横に並んで歩く。


「ねー美崎。やっぱり一緒に行って良い?」


「...あぁ...いいけど」


「やった!」


「...」


ようするに...綾瀬は私を待っていたのか。


『嬉しいような...悲しいような...』