「え...?」


誰もがそう呟いた。


次の瞬間、私達の前には恐らく吉村だっただろう物が...。


「...ひ、秀樹ッ!!?」


友達の男子がその辺りに群がる。


周りの女子は頭を抱えて、その様子から目を逸らす。


「てめェ...ッ!!」


宮代を抱きかかえた男子が、光浦を睨む。


光浦は何てことない顔でバットを肩に担いだ。


バットから流れた血が制服の白い部分を染めていく。


「何。そういうルールでしょ?」


男子達が息を飲んだ。


その様子に、光浦は口角を上げて笑った。


「...あんたらさー。さっき体育館であった事忘れた訳じゃないでしょ?今ここで、あたしらが生きてくには、必要な犠牲なのよ」


教室中に嫌な沈黙が流れる。


「...勝者、光浦美香。」


先生がそう言って、黒板のトーナメント表から吉村の名前を黒いペンで塗り潰した。