男は階段を上りきると扉を開いた。

「こちらへどうぞ」

案内された通り中へ入るとすぐに全員の目は一点に集中した。

「今回はえらく大規模やな」

猛の言葉が妙に響いた。

そこはさっきいた部屋とは比べ物にならないほど広々としていて中心に機械が置かれていた。

マッサージチェアのような椅子が円形に並べられていて頭上にはヘルメットのような装置が設置されているのだ。

各ヘルメットから延びている数十本の配線は中央に位置する筒状の機械に繋がっている。

「こちらの機械を使って今からバーチャル世界に飛んでいただきます。その中で行われる人生ゲームでより多くの賞金獲得を目指してください。では好きな場所にお座りください」

光と猛は隣同士に座った。

「ヘルメットを装着してください」

光は頭上のヘルメットを引き寄せ頭にはめ込んだ。

それを男が1人1人点検していく。

光も頭を掴まれた。

「これで準備は整いました。これよりみなさまをバーチャル世界へお送りします」

男は大きなレバーを勢いよく下ろした。

その瞬間光の目の前が眩しくなった。




「いってらっしゃいませ」