「疲れたー!!」

光は被っていたヘルメットを勢いよく外した。

反動で汗が滴り落ちる。

「お疲れ様です」

土木工事のバイトを終えた光は適当に挨拶をして着替えに行った。

20歳を過ぎたばかりの東條光は一日酷使した体を何とか動かしながら帰路についた。

バイクに乗り15分ほどすると築何年になるかわからないボロアパートが見えた。

光はバイクを停めると軋む階段を登りドアノブに鍵を差し込もうとしたがその手が止まった。

「ちっ」

光は舌打ちすると目の前の張り紙を剥がした。

それは家賃滞納に対する張り紙だった。

「もうそろそろ本気でやばいよな」

光は部屋に入ると朝から敷きっぱなしの布団の上に倒れこんだ。