【短編】コーヒーが飲みたい



あぁドキドキする……



まるで初恋の相手とフォークダンスを踊る順番が回って来た時みたいだ。



取り出した熱い缶は紛れもなく愛しのコーヒーだった。




やった……やったよぉ!!

とうとう掴んだぞ!!



この手にやっと喉を通るコーヒーを掴んだ!!





思えば長かった……


家で湯を沸かしたあの時から、あたしはこの瞬間をどれだけ待ち望んだか……!!




いつもは簡単に手に入っていたものが、こんなに遠く感じた事があっただろうか。



良かった……本当~に良かった!!


有り難く飲ませてもらうよ。




あたしは通りすがりの、寒いのに頭をギラギラと汗で光らせてるおやじに抱きついて喜びを表したいぐらいの歓喜の思いを堪えて、プルトップに右手の人差し指の爪を引っ掛けた。