【短編】コーヒーが飲みたい



あたしは今ショッピングセンターを後にし、身体中の酸素も二酸化炭素も抜けてしまいそうな程深い溜め息を吐き出し歩いている。




喫茶店でコーヒー飲んだんじゃないの? って?



飲めてたら出るのは溜め息じゃないよ。


鼻唄だ。


鼻唄混じりに帰路に着きたかったよあたしだって。




あたしが思ってるより世間の風は冷たかったのさ……。



そりゃ喜び勇んで喫茶店に向かったよ。


だけど……だけどね?



あたしを待っていたのは挽き立ての少し焦げた様な香ばしい匂いの熱いコーヒーじゃなく、越えられない壁だったのさ。




「挽き立てコーヒー320円」



越えられなかったんだよぅ

20円……


たった20円の壁が
あたしにゃ越えられない厚くて高ーい、ついでに有棘鉄線まで張り廻らされた冷たい壁だったんだよぅ!!




このままコーヒーはもうあたしの喉を二度と通ってはくれないのだろうか……