その赤くなった顔を見て、胸がぎゅうっと締め付けられる。
これが童顔の力なのか!?可愛いのはお前だよっ!!
つられてもっと顔が熱くなる私。絶対亮介くんより赤いって!!
…「童顔可愛い❤」なんて言う友達の気持ちが少しわかった気がした。



「部屋は雀の隣。そこ空き部屋だから。必要なもんは揃ってるよ」


亮介くんが来て一番嬉しそうなのはお兄ちゃんだった。
やっぱり…昔からの親友だもんね。今までも連絡を取り合ってたらしい。
私は亮介くんが変わっちゃって…まだ少し緊張してる。
だってあんなに可愛く…カッコよくなってるんだよ!?
一人で目を泳がしている私。
そんな私にお構いなく、お兄ちゃんが説明を続けた。



「風呂は一階、トイレは一階と二階にひとつずつ。いつも母さん達は一階の居間にいるから、なんかあったらそこに行って。…つかさ」




急にニヤリと怪しい笑みを浮かべ、声を小さくして話しだすお兄ちゃん。




「…彼女とかいんの?お前。」





・・・・っ!?
なんか気まずい話題になっちゃった!?
驚く私の顔をちらりと見ると、お兄ちゃんはまた悪い顔でニヤリと笑う。

・・・そう。残念だが兄は私が亮介くんを好きだったことを知っている。
小さいとき、そのネタで散々いじめられた。まさかまた…!?
・・・ここに居てはまずい。私の勘がそう訴えている。
そそくさと自分の部屋に逃げ込み、バンッ!と大きな音でドアを閉めた。
兄への忠告のつもりで。



「・・・やっべ雀怒ったっぽい」




ドア越しから聞こえて来るお兄ちゃんの小さな声にほっとし、胸を撫で下ろす。
兄は私が泣くのがキライらしい。
泣き声がうるさいとか、顔が気持ち悪いとか。
だから兄と喧嘩したときは必ず嘘泣きして私が勝つのだ。


緊張して疲れたのか、そのままベッドに倒れこむ。

…いきなりいろんな事がありすぎだよ。
気になってた先生がまさか初恋の「亮介くん」だったなんて。
それにいきなり同居!?展開はやすぎっ!
…でも亮介くん、本当は辛いはずなんだ。きっと一番疲れてるはず。
私も亮介くんに気を使わせちゃ駄目だ。もっと普通に接しなきゃ。

強く決意して、瞼をとじた。