「素の俺で頼んでたら、間違いなく学校追い出されてたよな。ははっ!」





「お母さんのことも、ちゃんと言ったの?」





「ああー…さすがにそのネタ無しでは生徒と同居なんて許してくれねーだろ。」





「ネタって・・・本当のことなんだから。」





そう言うと、いきなり亮介君は真剣な顔になった。
真っ直ぐに私の目を見つめて。




「・・・俺、同情されんのすげー嫌いなの。」





始め強い口調で言われたため、怒ってる?・・なんて考えたけどこれは私に向けて言っている言葉では無いと気付いた。




「お袋のことは、あんま他人に知られたくない。校長にだって言いたくなかった。アイツ、やっぱ同情してたよ。
でもお前のさっきの言葉は嘘なんかじゃないって伝わってきた。ホントに俺を心配して言ってくれたんだよな。」





・・・ああ。もう。
また切なく笑う亮介くんを見て、あの時を思い出す。
この顔はもう、一生忘れることはできないと思った。