もうこんな時間だった。
いつもは麗子の所に早く行かなきゃって急いでいたのに。
委員会とかで忙しくなって早く帰れなくなっていた。
「睦月。ごめんもう無理だよ。」
月の異名に急いで向かったら聞こえてきた会話。
「けど。麗子…。俺は!!」
二人ともまた喧嘩していた。
最近喧嘩が二人の日課になっていた。
意見のすれ違い。麗子の精神衰弱。
それが原因。だけど、睦月が折れたら麗子はきっと、もう狂う。
それが私には痛いほど分かった。
昔の自分がそうだったから。
だから、何とか戻したい。
だけど、私に何が出来る?赤の他人で。
今までだってなにも出来なかった。
「睦月さん!!麗子。来たよ~。」
もう笑顔で何も聞いてないかのように入っていく。
「優雅。こんばんわ。」
「麗子。俺は。」
「もう良いよ。止めよう?」
麗子はいつも私とか憐がきたら喧嘩をやめて自分の部屋にこもる。
誰にも会いたくないみたいだった。
本気で人とふれあうのを恐れている。
それが分かった。自分が嫌いになってる。
どうしたら良い?自分はどうやって立ち直った?
分からない…。自分が立ち直った方法じゃもうダメ。
麗子は重症だったもん。だって、こんなに人を嫌いなんだよ。
ただ麗子が好きなのは睦月さんだけ。
「睦月さん…。麗子の側にずっと居てください。抱き締めてあげててください。」
何を言っているのか分からなくなった。
こんな事で戻るとは思った居ない。
だけど、麗子はきっと不安なんだ。
未だに少しでもその不安をなくせたら多分。
ゆっくりだけど、麗子を戻す事が出来る。
「そうだね。そうする。」
そう言って睦月さんは麗子を追いかけに行った。