麗子SIDE
中途半端な時間に誰かから電話が掛かってきた。
「もしもし?」
「ねぇ。睦月の店に今からすぐに来て。」
その声は如月さんの声だった。
たぶん何かを仕掛けてきたんだ。
宣戦布告をたたきつけた私は逃げずにまっすぐに睦月の店に向かった。
「何のつもりなんですか。」
って勢い良く扉を開けたらいきなり
「来た・・・。」
「お母さん?」
私のお母さんが中にいて如月さんと一緒に座っていた。
あぁ親を味方につけたんだ。
「いつも帰り遅いと思ったらこんな所に通ってたのね。」
「何が悪いのさ。もう子供じゃないんだよ。」
「勝手にバイトも始めてるし。もうこのお店には来るんじゃありません。」
親の冷たい態度には慣れてた。
ねぇこれは如月さんの手の内?
「関係ないでしょ。今更母親面して。」
私の頬を母親がたたく音が響き渡る。
どうせそうだと思ったよ。
何も分かってくれないで。
「今まで何もしてくれなかったくせに。私の気持ちなんてこれぽっちも知らない癖に。ふざけるなよ・」
「あらあら。親に対してそう言う言葉遣いはいけないわ。麗子ちゃん。あなたは精神的な病気だからねぇ。」
嘘つき。どうしてそこまでした睦月を取ろうとするの?
睦月の気持ちが最も大事なはずなのに・・・
睦月が好きって気持ちが大切なんじゃないの?
如月さんは職業をうまく利用したんでしょ。
睦月は店の奥で一人黙って座っていた。
「分かりました。あなたがそう言うのであれば。私は家を出てここで暮らします。もう17なんだし。良いでしょ。文句ないでしょ。」