届かぬ出ぬ声。

「ごめんなさい。やっぱり嘘付け無いみたい。」
そういって精一杯の笑顔を作ったつもり。
憐さんは苦虫を噛みつぶしたような顔をしていった。
「俺本当は前から麗子ちゃんの事好きだったんだよ？」
嘘でしょ？
優雅ちゃんが気になってる。
私のこと好きって言うのはたぶんただの興味。
自分のことは分からないけど他人のことはよく分かる。
何人も裏切って、落としてきたから。
「だけど。睦月さんがどう思ってるか知らないけど。嫌われてても私は睦月さんの事が好きです。」
そういって私は幸せな気持ちになった。
あぁ振られても清々しい気持ちになれるのはやっぱり恋の力かな？

「俺も好きだよ。」
そう言って睦月さんは優しく抱きしめてくれた。
睦月さんは少し甘酸っぱい柑橘系のニオイがした。
あぁ、私って両思いだったんだ。
優しい淡い心地の良いにおいに包まれた。
「サンキュッ。優雅ちゃんと憐君。」
「えっ？どういう事ですか？」
私と優雅ちゃんは同時に言った。
「憐君？優雅ちゃんに言ってなかったの？」
優雅ちゃんは涙がこぼれた後がついていて。
「だって優雅ちゃんは絶対俺の事好きだって分かってたし。女の子って分かりやすいんですよ。演技下手だから。本泣きですよ。さっきの。」
私と優雅ちゃんは騙されていたみたいで。
「睦月さんの馬鹿！！だけど好き・・・」
そう言っていた。本当に愛していたから

きっと私は睦月さんから離れられない。