「な…なに?」

 
久しぶりに関谷があたしの苗字を呼んだ。

 
「あのさ、えーとだな…」

口ごもる関谷は、この前、間宮さんの前に居たあたしみたいだった。



「うん、なに?」

けれどあたしは突き放すような言葉は言わない。

それがどんなに心に突き刺さるか、知ってるから。
 


 
「あの、俺この前、柏木が好きって言おうと思ったんだ」

「あ…、う、うん……」

「はは、気づいたよな、さすがに」

関谷は苦笑いをしながら、頬を人差し指で掻いた。

 
 
「柏木に鈍いからさー、全然気づかねーし」

「え、なにそれー。関谷が分かりにくいだけでしょ」

「ふはっ、あれのどこがわかりにくいんだよばーか」



関谷が軽く吹き出したから、あたしもつられて笑った。

 


今、前みたいにもとに戻れてる?

この前みたいに、友達として?