「よっし。じゃあ呼んで?」

「今?!」

「だって朝だろ?」

「ず、ずるい…!」

「ずるくねーよ。はいどーぞ」


 
おどけたような口ぶりをして、あたしの唇に耳を近づけてくる間宮さん。

もう言わなくちゃいけない状況になっていて、あたしは意を決しながら小さく声に出す。



「そ、壮…。起きて」



ためらいはあったものの、言ってやった!という気持ちで間宮さんをじっと見る。

けれど間宮さんは全然こっちを見ようともせずにあたしの腕を掴んでいる。


 
「間宮さん?」

「……」



呼びかけても何も言わないから、何かと思い間宮さんの顔をよく見ると、

紅く染まりあがった耳がそこにはあった。

さらによく見てみると、首も真っ赤で、例えるなら本当に"茹でダコ"が合っていた。

 
…自分で呼んでって言ったくせに。


そうは思うけれど、おもしろくてつい笑ってしまう。