「じゃあ早く起きてください!子供じゃないんだから…」

「…今、なんて?」

「え?」



先ほどまで眠そうに眉間にしわを寄せていたかと思うと、今度は睨むようにしてあたしを見た。


朝1番の少し低い声に、どきりとしながらも平静を装う。



「だから、今なんて?」

「だから、子供じゃないんだから…って、わあ!」



訳がわからないまま繰り返しそう言うと、

間宮さんは起きることなく強い力で腕をひっぱり、あたしを布団に引きずり込んだ。



「ちょっとー!なにするんですか!」

「うっさい。その子供に力で負ける朝未が悪いんだっつーの」



間宮さんの言葉に、ああ、そこに怒ったのかと理解しながら体制を整えようとする。

だけどその手はあたしの腕を放してくれない。

それどころか今度は間宮さんは真剣な顔つきであたしを見つめる。

さっきまであんなに眠たそうにしてたのに。


胸の高鳴りを悟られない様に、嫌ですと腕を上下に振る。



「放してください!」

「そんな凄んだって怖くありませーん」

「じゃあどうやったら放してくれるんですか!」

「そうだな…」



と、腕をしっかりと掴んだまま考え始める間宮さん。

あたしはしまったと後悔する。

こんなのろくな事になったりしないのは、長年の経験で分かっていた。