「ふふ。間宮さんでも緊張ってするんですね」

「お前……」


 
からかい気味にそう言うと、間宮さんは悔しそうに眉間にしわを寄せる。

そしてはあ、と一つため息をついた。



「そんなん言うんだったらなあ、俺の前に今すぐ"彼女の親に挨拶するとき緊張しない奴"を連れて来い」

「そんな無茶な」

「ほらみろ」

 

つっぱったような返答にあたしは思わず笑ってしまう。

そういえば無自覚に自己中心的だったんだっけと、密かに思い出す。

 
 
無自覚に自己中で俺様で、それでも愛しいと思える。

間宮さんだから、そう思う。

 
これからずっと一緒に居るなら、間宮さんが良い。

間宮さんじゃないと嫌だと思う。


 
なんだか無性に気持ちが溢れてきて、そっと間宮さんの手を握った。

そしてそのままその手を引いて歩き始める。