最初は何を言っているのかわからなかった。
その"好き"は、家族愛や友情愛に近いものなんじゃないかとも思った。
けれど間宮さんの重い口調で、先程からの違和感に納得する。
その"好き"は、恋愛だった事。
だから沙織さんの事を話す時、優しい雰囲気だった事も。
相変わらず何も言えないで居ると、間宮さんはあたしをまじろがずに見る。
あたしは思わず不安になって、見つめ返した。
すると間宮さんはふ、と笑う。
笑いながらあたしの頭をくしゃくしゃと撫でる。
「何、今はお前だけだって。勘違いすんなよ」
「だ…だって」
「まあ嬉しいけどね」
間宮さんは、いつもあたしの前で見せる笑顔を向けた。
「昔の事だから」
そう言って再び話し始める。

