嘘カノ生活

「…ごめんな」


 
軽い沈黙の後に低い声がそう呟く。

変わらず真剣な表情。

あたしの心臓はドクンと跳ねる。

その鼓動は高ぶったまま、治まらない。 
 
そんなあたしをよそに、間宮さんは続けた。
 
 
 
「いなくなって、連絡もまともにしなくて。本当にごめん」

 

その言葉で、鼓動は治まるどころか更に高ぶっていく。

それと一緒に胸の奥から込み上げてくるものがあった。
 
 

「あ、えと…」



言葉が出てこない。

言いたい事があるのに、声が出なかった。
 
その途中で、泣きそうなんだと気づく。
 
声を出したらきっと裏返ってしまう。

きっと、その瞬間で涙が溢れ出す。

だから声がだせない、言葉がでない。
 
 
目を伏せて、唇を唇で噛んだ。