「もう行っちゃうんだ?」
そう聞こえて急いで間宮さんの顔を見る。
そこに居る間宮さんは目をぱっちりと開け、笑っていた。
「ま…間宮さん?」
さっきまで寝ていたと思っていた人が目を開けて笑っている。
勿論すごく驚いたけれど、大声をださないようにそう言った。
よく状況が飲み込めず、数秒してからハっとする。
「あ…あの、寝てたんじゃ…」
「いや、起きてましたよ」
「え、だって…」
「まあ、途中からだけど」
お前、人の手すげー触んだもん、と意地悪そうにくしゃっと笑った。
あたしはそれを聞いて急激に焦り始める。
だって、間宮さんは寝てると思っていたから。
顔が熱を持って、額に変な汗まで浮かぶ。
「だ、だって…。起きてたなら言ってくださいよ」
「んー。言ったら手、離してただろ?」
そう言って今も間宮さんはあたしの手を握っている。
ばれてしまったら仕方がないか、とため息を1つついた。
手は、握ったまま。

