あたしがそう言うと、俊介くんは息を大きく吸って、それを吐き出す。
「…この期に及んでそれはないと思うけどなあ」
「でも、絶対なくはない、でしょ?」
「ていうか、俺は絶対ないと思う」
「どうして?」
そしてあたしが再び訊ねると、俊介くんはバフッと背もたれに身を預けた。
どうして俊介くんはないと言い切るんだろう。
確かに友達で、すごく仲は良いんだろうけれど。
「沙織さん…だっけ」
「え、あ…はい」
今回のこの事も、俊介くんには既に病院に着いてから大まかな事情は伝えていた。
けれど沙織さんの名前をだしても、良く知らない、と首を振った。
すごく深い繋がりがある風だった、間宮さんと沙織さん。
それを俊介くんは知らないと。
そう言った。

