嘘カノ生活

「ええと、どちら様かしら」

「あ、あのあたし…」

 
 
急に話し掛けられて、上手く喋ることが出来ない。

あの、だとか、ええと、だとかそんなのを続けていると、俊介くんは微笑んで言った。

 
 
「壮の恋人です。柏木朝未さん。…なんて俺が紹介するのも変ですけどね」

「壮平の?」

「は、はい。柏木朝未です、よろしくお願いします」


 
首をかしげてあたしを見る間宮さんの両親。

あたしは咄嗟に深くお辞儀をして挨拶をした。 
 
 
すると2人は顔を見合わせて目を細め微笑む。

その顔からは優しさが溢れるほど滲み出ていた。
  
  
 
「柏木さん、壮平の事頼みますね」
 
「あ、は…はい」
 
 

本当に本当に優しくて、なんだか拍子抜けしてしまう。

あたしは気の抜けるような返事をしてしまって。


それでも笑って「しばらくはホテルに泊まってここへ通う」

と言い、2人は一旦病院をでた。