嘘カノ生活


そう言うとゆっくり流れていた関谷の涙がぽたりと地面に落ちた。

  

「うわ、え、俺泣いてるし」
 

関谷は自分が泣いてる事に気づいていなかったようで、落ちた涙を見て驚いていた。


「ごめん、かっこわりー」


ごしごしと袖で涙を拭く関谷。

 
 
「…かっこわるくなんかない」

「へへ、サンキュ」
 


関谷は格好悪くなんか無い。

あたしには勿体無いほど素敵だ。



涙を拭った後、関谷は俯いていた顔を上げて話し始めた。

 
「…俺、お前の事1年くらいずっと好きでさ」

「…うん」
 

泣くなあたし、泣くなあたし。


「フられてもまだ好きで」

「…うん」
 
 
泣くな。
 
もう流せる涙は全部流したはず。 
 
 
 
「…柏木は最低なんかじゃないよ」

「…っ」

「俺の方こそありがとう。…諦める努力、するな」 
 
「…っうん…。ごめ…ごめん…」

 
"泣いて、ごめん"

流せる涙はもう全部流したはずなのに。
 
 
 
 
「…お前が泣くなって。ほら!」


あたしの涙は枯れる事など無いみたいで。
 
関谷はあたしの涙まで拭ってくれた。