嘘カノ生活

 
本当にあたしは最低だと思う。

すごく最低。

 
 
「好きなんだよ…」


あたしの頭を撫でていた手は止まり、少し痛いくらいの強さで関谷は抱きしめる。
 
それは願いにも似ているような気がした。

 
だけどその腕を見て、思ってしまったから。 



 
どうして間宮さんの腕じゃないんだろう。

どうして頭を撫でてくれるのは間宮さんじゃないんだろう。

どうして、目の前に居るのは間宮さんじゃないんだろう。
 
 


「…関谷。あたし、最低だよ」
 

頑張って涙を止めて、鼻を啜りながら答える。 
 
 
 
「関谷の気持ち知ったのに、寂しくて甘えた」 
 

まだ抱きしめられていたから、関谷がどんな表情をしているかわからなかったけど。

きっと傷ついてる。

否、顔に出てなくても、心が。



それでもあたしは続けた。



「…間宮さんが、好き」

だからこうして抱きしめられているのに、抱きしめ返すことも出来ないでいる。



関谷は何も答えない。 
 
 
 
「…ごめんね」

あたしはそう言うと、関谷の身体を引き離した。