嘘カノ生活

 
あたしの身体は触れられる事でさえ拒否するのに、

こんな風に抱きしめられて、震えは余計増していた。

 
 
「せ、関谷やだ…っ」

 
あたしの涙で関谷の肩が濡れている。

それでも止まらない涙。

 
怖い、怖いと口から言葉が漏れる。

 
 
ぐちゃぐちゃに泣いて震えるあたしのあたしの頭を、

関谷がゆっくり撫でた。 
 


「俺は俺だよ。間宮でも、他の誰でもない。怖くない」


何度も優しい声で繰り返す。

 
 


「怖くないよ、怖くないから」


何度も、何度もそう言って。
 


…関谷は何も悪くないのに、あたしは関谷を拒絶した。

それなのに怒ることも嫌うこともせずに優しくしてくれる。 
 
 
 
「…大丈夫?」

 

完全に、とは言えなかったけれど次第に震えは治まった。
 

それまでに何十分かかったんだろう。 

ずっと、ずっと関谷は頭を撫ででくれて。 
 
 
 
 
「うん…ごめんね、関谷…」


ごめん、本当に。

結局こうやって迷惑かけて、あたしは何してるんだろう。