重なった唇の隙間から、男の舌が侵入する。 誰か来て、助けて、そんな風に願ってみても、もちろん誰かが来るわけでもない。 かすれるように聞こえる回りの声は、 「ヒューヒュー」 だとか 「もっといけー」 なんてのと、笑い声。 あたしの口から漏れる声は、息が出来ていない証拠。 怖い、気持ち悪い。 衝動的にそう感じた。 否、そう感じない方がおかしい。 ――こんな風にキスされるの、間宮さんだけが良かったです。 ――こんな風になっても、いつかみたいに助けに来てくれないんでしょうか。