嘘カノ生活

「朝未ちゃんに再会したの、大学の門の前なんだけどさ。当然朝未ちゃんは俺のこと覚えてなかった」

「あの子記憶力悪いですから」

「はは、確かにそうかも。で、そのとき壮の彼女朝未ちゃんだって知った」

  
 
正直、あの時は理解するのに時間がかかった。

俺が好きだった女の子は、壮の、彼女になってた。
 
理解しても認めるのに苦労したけど。
 
 

「けど、もう大丈夫なんだ。あの時何も出来なかった俺が悪いし、なによりあの二人には幸せでいて欲しい」

 
本当だよ、と、軽く笑顔で夕菜ちゃんを見た。
 

「…」

「約束、しちゃったし」

「え?」

「俺、朝未ちゃんに言ったんだ。見守ってるからって」

 
 
好きだった事を伝えず、なにも言わないで自分の中に。

それでも良いと思えるのは。

 
「壮を変えてくれたことに、感謝してるからね」