「だけど結局、それ以来忙しくてSASAKIには行かなくなったんだ」
俺はすでに飲み干したカップの取っ手をいじりながら、夕菜ちゃんに話した。
「好きだって、気づいたのにですか?」
「うん、指定校推薦で受かったわけだし、卒業関係の委員とかやらされてさー」
本当はそれだけじゃないんだ。
自覚してから、どうした良いかわからなくなった。
男の癖にと笑われそうだったから、夕菜ちゃんには言わなかったけど。
「大学に入って、壮に好きな子できたって言われたときは、まさか朝未ちゃんだとは思わなかったけどね」
付き合うことになった、と。
壮から聞いたとき、心から喜べた。
自分のことよりも嬉しかった。

