嘘カノ生活

招かれたほうへ駆け寄ってみると、そこあるのはベンチ。
 
もう既に俊介くんはそれに座っていて、あたしに催促するように横の席をぽんぽんと叩いた。 
 
 
 
「悪いね、急に」

「あ、いえ…」

「友達帰ってくるまでで良いから」
 
 
そうあたしに笑いかけると、俊介くんはふうと息をつきながら背もたれに寄りかかった。 
 
 
 
「…あの、さ」 
 
 
 
言葉を探してるみたいに黒髪のその頭をくしゃっと掻く仕草。 
 
そして思いついたのか、掻くのをやめてあたしの方を向いた。 
 
 
 
「朝未ちゃん、壮の事本気で好き?」
 
「は?」
 
 

そういうことを聞く理由はわからなかったけど。 
 
その質問に対しての答えなら、


…もうとっくのとうにででる。 
 
 
 
 
 
「…はい」
 
  
 
 
 




気のせい、かもしれないけど。

あたしがそう答えたとき、俊介君は、すごく優しい表情をした。