嘘カノ生活

「てか、朝未ちゃんなしたの?壮に会いに来た?」

さっきまでの雰囲気を一変させるような明るい口調。 
 

「…ああ、間宮さんに会いに来たわけじゃないです」

 
 
"壮"

それが一瞬誰の事かわからなくて。

しばらくたってから、間宮さんの名前だっていう事を思い出しだ。

 
 
 
「間宮さん、ね…」


そう呟いた俊介君の声は、蚊のようにか細くて、あたしには聞き取ることが出来なかった。
 

そしてあたしの前を歩く俊介くんは、急に早足になった。 

それからキョロキョロしたような素振りの後、

あたしの方を振り返って、手招きをした。 
 
 
 
「?なんですか…」

「ちょっと今いい?」

「あ、はい…」

 
 
 
本当は断った方が良いのかなって思ったけど、何故か今は断っちゃいけない気がした。