牙龍 私を助けた不良 上



出て来たのは暁だった。制服の上からコートを羽織ってはいるが、何だか寒そうだ。



「隣、座ってもええか?」



暁は、あまり反応しなかった俺に何を思ったのかそう言った。


無言で肯定すると隣に腰を降ろし、小さく息を吐いた。



「下の奴等は元気やな。もう夜遅いんやで?」


「・・・・・」


「・・・なぁ、大丈夫なんか?」



暁は静かに聞いた。


それは俺に対してなのか、凜華に対してなのか。おそらく、どちらもだろう。


幹部全員には、凜華のことを伝えてある。濡れて帰ってきた俺を見て、聞いてきたしな。