いまいち理解できていない戒希と桃華に視線を移し、歩夢は目を細めた。


そんな時だった。病室の扉がノックなしにスライドされて、



「迎えに来ましたよー、狼姫さん」



灰色フードを被った少女──シャドウが入ってきた。アウェイな空気に気付いているのかいないのか、気だるげな声で歩夢を──狼姫を呼んだ。



「ご苦労様」


「「(誰・・・?)」」



彼女が誰だか分からず首を傾げる二人を他所に、歩夢は



「迎え来たから帰る、またね」



そう言って、病室の開けられた扉のある方を向くと、足早に出て行った。


そしてシャドウもまた、失礼しましたーと、伸びた言葉を残して足早に歩夢を追い掛けていった。