そう思っていると、ふと木藤が私の頭を撫でるのをやめた。


そして、



「凜華」



低い声で、甘く名を呼んで。



「今日の放課後、校門で待ってろ」



そう言って、保健室から出て行った。木藤が居なくなった後も、私は暫く動けなかった。


不器用な手が──アイツが撫でてくれた部分が甘く、熱を帯びているような気が、した。