* * * * * 「遅かったな」 病院の駐輪場には、大きめなバイクに寄り掛かった少女がいた。 起伏な身体はライダースジャケットに包まれて、黒銀色の長髪が艶めいている。 ブランドスーツを着た男は、すみませんと言いながら、彼女に近付いた。 「息抜きは出来たか」 「ははっ、お陰様で。重々、本当にすみません」 「いや、こちらとしても助かった。・・・私が接触すると、事態を悪化しかねないからな」 彼女は少し寂しそうに言った。