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あの日、私が彼女と初めて出会った日のこと、一度も忘れたことはなかった。


綺麗すぎて──そう、瞳を支配する闇が綺麗すぎて惹かれていった。



『優しい母親の愛情は、緋色だ』



難しいというか、今思えばあの人らしい誉め言葉だったそれは、私にとって大切な言葉。


彼女は闇にあって、闇に染まらない人だった。私に、何も聞かなかった。


そんな彼女は、気が付いたら回りに人が集まっているような、素敵な人。