「リュウキ?」


「字は、龍に、騎士の騎って書くんだ。それで、龍騎って読む」



リュウキ、龍騎、木藤龍騎。


・・・何処かで。


なんとなく聞いたことがあるような気がしたけど、全然思いつかない。カッコいい名前だなと思った。龍の騎士、だもんね。



「なんで、龍騎・・・さん?は来ないの」


「それは・・・」


「あの日、この病室に居たってことは私の知り合いのはず。・・・なのに、あれから1回もここに来てない」



どうして、なんだろう。


仲がいい人なら、1回くらいはお見舞いとかに来るだろうし・・・。仲が悪い人なら、私が目を覚ましたときに、あんな顔はしないだろう。


あんな、嬉しそうな顔が出来るわけない。



「・・・龍騎は、忙しくて来れないんだ」


「・・・・・」


「龍騎、牙龍の総長なんだ」


「牙龍・・・」


「あ・・・っと、とにかく最近忙しいから」



勇人はそう言うと、暁に連絡してくると言ってケータイを持って病室を出て行った。静かになった部屋は、なんだか寂しく感じた。