望夢は、玲矢と戒希の前にコーヒーの入ったマグカップを置くと、自分はミルクティーを前に置いた。


総長のカフェテリアに、静けさが染み渡る。


玲矢はコーヒーを一杯飲むと、意を決したように口を開いた。



「今日な、お前を呼んだのは、知らせたいことがあったからなんだ」


「知らせたいこと?」



玲矢は、戒希に言葉を返そうとして口を開いたが、言いにくいのか、眉間には皺が寄っている。


そして、うとうとしているルナを撫でている望夢に、ちらちらと視線をやる。


すると望夢は、ふっと悪戯めいた笑みを浮かべると──



「──緋龍が、暴牙を潰したんだよ。また、『あの日』のように我を失って」


「・・・っ!?」



甘いお菓子のように甘く、深紅の薔薇のように艶めいた声で言った。


戒希は目を見開いて、少女を見つめた。彼女は、まるで別人のようだった。