すると、カウンターの奥からお盆を持った望夢が出て来た。
お盆にはマグカップが3つ、乗せられていた。コーヒーの香りが、マグカップから漂う。
そして、望夢の肩には。
『にゃー』
何やら白い塊──真っ白な仔猫が、乗っていた。蒼い目で、戒希と玲矢をじぃっと見つめている。
「おぉ、ルナか」
『にゃっ』
「前より、一回り大きくなったよ。アメショなのにね」
『にゃん』
望夢が喉を撫でてやると、気持ち良さそうに喉を鳴らして、彼女に擦りよる。
小動物が好きな彼女は、アメショ──アメリカンショートヘアの仔猫を大切に育てていた。
そのお陰か、仔猫のルナの毛並みはふわふわしていて、手入れが行き届いているのがわかる。