牙龍 私を助けた不良 上




漆黒の髪は、兄弟なだけあって『アイツ』と同じだ。青年はそう思いながら、彼に近付いた。


彼は青年に気付くと、穏やかな笑みを浮かべた。やはり、雰囲気は昔より穏やかになっている。



「久し振りだな」


「あぁ。・・・随分穏やかになったな、玲矢(レイヤ)」


「そうか?仕事上こうなっても仕方ないんだよ、戒希(カイキ)」



青年・戒希の知人である玲矢は、そう言いながらカフェテリアの扉を開けた。


『close』と書かれた扉はすんなりと開き、中に入ると玲矢は扉にカチャリと鍵を掛けた。



「閉めろってさ、煩いんだよ」


「玲矢の知り合いが?」


「あぁ。年下なんだけどな、色々借りがあるから」



生意気だけど仕方ない、と大人発言をした彼に戒希はまたも驚きながら、カフェテリアの中を見回す。


『Honey Angel』


このカフェテリアはそこそこ有名な場所で、雑誌に載ったりしたこともあるくらいだ。


落ち着いたカントリーな内装は、店長自らがデザインしたらしく、柔らかい雰囲気が満ちている。