牙龍 私を助けた不良 上




「とりあえず、龍騎に渡しておくわ」


「はい」


「牙龍のことは、僕達に任せて下さい。何かあれば、携帯に連絡します」


「すまねぇ、志貴」


「いえ。凜華さんを、よろしくお願いします」



志貴と麻美さんは、礼をして病室から出て行った。


心の中で、礼を言って、凜華に向き直った。相変わらず、凜華は眠っている。


『Dear.緋姫 凜華』


真っ白な手紙は、傷一つ付いていないシンプルなモノで、持ち主がどんな人物か分かる。


『Dear』には、凜華を大切に思う気持ちが表れているような気がした。



「凜華・・・」



何をするでもなく、眠っている凜華の名前を静かに呼んだ。


月が恍惚と、病室を照らし出していた。青白い光は少しだけ、弱々しかった。