side:龍騎


規則正しい機械音を聞きながら、ほっそりした手を両手で包む。


病院についた途端、図ったように凜華は吐血して、熱を出した。


手術室に連れていかれて、出て来たと思ったら──医者が眉間に皺を寄せて俺に言った言葉が、頭から離れない。


・・・凜華。


酸素マスクが口に、点滴の針が腕に施されている凜華を前に、名前を呼ぶことしか出来ない。


暗い世界に、たった一人でいるような感覚が、胸中に渦巻く。


・・・どうして、『それ』を俺に言ってくれなかったんだ。どうして、一人で抱え込んだんだ。


全てのピースが埋まり、分からなかったパズルが完成したのに、納得できないでいる。


もう一度凜華を見た時、ドアがノックされた。控え目な音に、はい、と小さく返事をした。


静かに開けられた扉の向こうには、志貴と麻美さんが立っていた。