牙龍 私を助けた不良 上





「──で・・・・」



微かに、凜華の囁くような小さな声が聞こえた。ハッとして、彼女の顔を見つめる。


長い睫毛が震えて、綺麗な瞳がゆっくり晒されていく。しっかりと、俺を捉えている。



「もう一度・・・」



少し青みを帯びた唇がゆっくり、確かに言葉を紡いでいく。


俺は、しっかり耳を傾ける。聞き逃さないように。



「私を、呼んで・・・」



俺の腕を、細い腕が力なく掴む。声だけが、まっすぐに届く。



「凜華」


「ん・・・」



凜華は安心したように小さく微笑むと、木藤、と俺を呼んだ。


頬に手を添えると、さっきよりはほんのりと温かい。安堵して、凜華を下ろしてブレザーを掛けた。