「──で・・・・」
微かに、凜華の囁くような小さな声が聞こえた。ハッとして、彼女の顔を見つめる。
長い睫毛が震えて、綺麗な瞳がゆっくり晒されていく。しっかりと、俺を捉えている。
「もう一度・・・」
少し青みを帯びた唇がゆっくり、確かに言葉を紡いでいく。
俺は、しっかり耳を傾ける。聞き逃さないように。
「私を、呼んで・・・」
俺の腕を、細い腕が力なく掴む。声だけが、まっすぐに届く。
「凜華」
「ん・・・」
凜華は安心したように小さく微笑むと、木藤、と俺を呼んだ。
頬に手を添えると、さっきよりはほんのりと温かい。安堵して、凜華を下ろしてブレザーを掛けた。

