牙龍 私を助けた不良 上





『・・・凜華っ!!!』



凜華、リンカ、りんか。


『声』が呼び続ける名前は、聞き慣れたものだ。


少女は「あぁ自分の名前だ」と、頭の片隅でぼんやりと思い出した。


・・・──で。


少女はゆっくりと抱えた膝に埋めていた顔を上げながら、必死に唇を動かす。


・・・もう一度。


長い睫毛が震えて、少女の瞳が──綺麗な青い瞳が晒される。


黒く淀んだ世界が、その澄んだ瞳に浄化されているのか、ゆっくりと白い世界に変わる。



・・・私を、呼んで。



緋色の少女は、抱えていた足を伸ばして立ち上がる。白い光の中にある、優しい光を見据える。


まるで、愛しい人を待ちわびていたかのように、細い腕を伸ばした。


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