ドクンッ・・・
また、心音がやけにリアルに聞こえてくる。妙に気がはやり、手に汗がじわりと滲む。
俺は、倒れている奴等を踏まないようにしながら、更に奥へと進んで行く。
歩いていたが、いつの間にか小走りになっていた。鮮血の臭いが濃くなる。
「・・・・凜、華?」
最終的に走っていた足は、その光景を見て止まった。驚きのあまりに、俺は目を見開いていた。
ピチャッ・・・
「ーーーっ、ーー!!!!」
「──、─・・・」
髪の長い女が、男を、服の胸ぐらを片手で掴んで、宙に浮かせていた。
男の服の裾から覗く腹には、赤と青紫の大きなアザがいくつか点在している。
白いティーシャツには血が着いていて、苦しそうにもがきながら、女の細い片腕を掴んでいる。
・・・おい、嘘だろ?
髪の長い女は、言わずと知れた女(ヒト)──凜華だ。横から見ているが、あの姿を見間違うわけない。
状況に付いていけず、突っ立っていたが、凜華の男を持ち上げている手に徐々に力が入っていくのを見て、我に戻る。

