牙龍 私を助けた不良 上




思わず足が止まりそうになる。


遥か後方にいた仲間達は、気を取り戻した奴等と戦いを再開したらしく、殴る音が聞こえだした。


しかし、それを気にする余裕はなかった──できる訳がない。


さっきまでいた場所より、直に突き刺さる殺気に今度こそ、足が止まった。


・・・やべぇ。


気を抜いたら、あっという間に竦(スク)み上がりそうな気がした。


慎重に辺りを見回すと、あちらこちらに暴牙の面子と思わしき奴等が、死んだように倒れていた。


不審なのは、外よりも人数は多く、強そうな奴等ばかりがいることだ。


明らかに、誰かにやられたのだろう傷が、痛々しく腕や顔につけられている。


しゃがみこんでみると、微かに胸が上下しているから、死んではいないようで安心した。


その瞬間だった。



「ぎゃあぁぁあぁあ!!!!」



ドカッ──・・・


凄まじい男の悲鳴と、何かを思いっきり強打するような音が聞こえだ。